敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
振り返ると同時に腕を取られ体を密着させられる。カシャッと音がしてすぐ、腕は解放された。
「――おまっ」
「ツーショットの撮影成功」
恵麻だった。満足そうに笑い、スカートをなびかせて意気揚々と立ち去っていく。
(あれだけこっぴどく突っ撥ねたのに懲りずにうろつくとは、いったいどういう神経してるんだ)
次々と繰り出される言動に苛立ちを隠せない。
拳を握りしめて恵麻の背中を睨みつけていたら、今度はべつの声が掛けられた。
「モテる男は辛いな」
一弥がニヤニヤしながら聖の肩をトントンと叩く。
「患者さんか?」
「……いや」
首を一振りして続ける。
「一弥にひとつ頼みたいことがある」
「俺に頼み? 聖が珍しいな。じゃあランチでもとりながらにしようか。といっても聖は豪勢な弁当持ちだろう? 医局で待っててくれ、下のコーヒーショップでなにか調達してくる」
一弥はもう一度聖の肩をトンとしてから一階に向かった。