敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「唯斗くんに、駅前のコーヒーショップで待っててって伝えてもらえる?」
『大丈夫なの?』
「大丈夫。おばあちゃんは心配しないで」
不安そうにする孝枝を説き伏せ、通話を切った七緒はすぐにマンションを出た。
指定したコーヒーショップに到着すると、唯斗は軽く手をあげて立ち上がった。
カウンターでアイスティを注文して受け取り、彼のもとへ向かう。
「急に悪かった」
「ううん、私も聞きたいことがあったから」
あれほど顔も見たくなかった唯斗を前にしているのに平常心でいられるのは、七緒の心に聖がいるおかげだろう。彼との間に修羅場があったなんて信じられないくらいに心は平穏だ。
「彼女と別れた」
唯斗はどことなく疲れたような顔をして、早々に切りだした。
「やっぱりそうだったんだ」