敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「はい」


恵麻は満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。


「自分がなにをしているのか自覚してる?」
「なにって、好きな人を振り向かせようとしているだけですよ? 加賀谷先生もきっとすぐ私に落ちると思います」


その自信はいったいどこからくるのだろう。


「だって、私に乗り換えたほうが七緒さんより得だから」
「得って……。人の心が損得だけで動くと思ってる?」
「損するよりはいいと思いますけど。私の父はアオヤマ製薬の取締役だから、加賀谷医療センターの次期院長夫人にもふさわしいんじゃないかな」


今度は父親まで持ち出してきた。恵麻には、自分で戦える要素がなにひとつないみたいだ。


「恵麻ちゃんってかわいそうね」
「……私がかわいそう? どうして?」


またたく間に恵麻から笑顔が消える。眉をひそめ、不満を隠そうともしない。
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