敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

『これから病院に来られないか?』
「なにかあったんですか?」


病院まで呼び出されるのは初めてのため困惑する。


『いや、大した話じゃないんだ。でも来てほしい』


要領を得ないが、聖に呼ばれれば七緒に行かない選択はない。すぐに向かうと告げ通話を切る。電車を乗り継ぎ、加賀谷医療センターに向かった。


親切な案内板通りに足を進め、心臓血管外科を目指す。声を掛けるよう聖に指定された五階のナースステーションに着くと、忙しなくしている看護師のひとりに声を掛けた。

七緒を患者の家族と思っているのかもしれない。『加賀谷先生とお約束が』と伝えると、話が通っていたらしく、すぐにカンファレンスルームと書かれた個室に通してもらえた。

聖は大した話ではないと言っていたが、こんな場所まで呼び出していったいどんな話をするのかと不安になる。

(――もしかして、おばあちゃんに病気が見つかったなんて言わないよね?)

高血圧だけでなく、なにか重い病気が判明して七緒が呼ばれたのではないか。
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