敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

そう言われてもなお、不可解さは増すばかり。まばたきを激しくさせて男を見つめ返す。


「結婚を約束した相手として、今から俺の祖父に会ってもらいたい」
「意味がまったくわからないのですが」


なぜこの人の祖父に会わなければならないのか。それも〝今〟ということは、その祖父も乗船しているのだろうか。


「キミが俺の願いを聞き入れてくれるなら、俺もキミの要望をなんだって叶えるよ」
「ちょっと待ってください」


ひとりで勝手に突き進まないでほしい。強引なうえにワンマン。七緒は完全に置いてきぼりだ。


「悪いけど詳しい話をしている時間はないんだ」


男は腕時計を見ながら立ち上がり、腕を引き上げて七緒を立たせた。

改めて男の身長の高さに圧倒される。七緒も一六五センチあるから低くはないのに、七緒の目線は彼の肩のラインだ。おそらく百八十センチは超えているだろう。
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