あざと女子の恋の歌はあざとくない。
ダメだ、このままじゃダメだ。
なんか別の話題に変えないと……
「――あっ!緋色、いちご飴!」
「ほんとだ」
「買ってくる!」
「あっ、ちょっと!」
いちご飴の屋台に行き、1本買った。
周囲をキョロキョロして写真を撮るのに良さそうな映えるスポットを探す。
人が多いから難しいけど、まあ加工するし。
ここなら良さそう。
「はい、緋色これ持って!」
「え?」
「もうちょい角度!そうそう!」
あとは自撮りもして……よし、映える写真撮れたから後でインステにアップしよう!
「…食べる前に毎回こんなことすんの?」
「当たり前でしょ〜」
ぶっちゃけ食べたいというより、かわいくて映えるから欲しかったし。
「女子のすることってわかんないな…」
「かるたのことばっか考えてるからよっ」
「悪かったな…」
「ま、最近は和歌の面白さがちょっとわかってきたけど。恋の歌が多いから、ちゃんと意味を知るとキュンとしたり切なくなるよね〜」
あたしがちゃんと和歌を勉強するようになって、意外と楽しめている理由はそれもある。
知れば知るほど平安時代のめくるめく恋愛模様が浮かび上がって、和歌の世界に魅了されていく。