あざと女子の恋の歌はあざとくない。


「……これ、うぱおじゃん」

「知ってんの?」

「妹が好きなんだよ」

「へー」


ちなみにこのうぱおとかいうウーパールーパー、咲玖ちゃんが好きなキャラクターでもある。
この何も考えてなさそうな、絶妙なマヌケ顔がツボらしい。

咲玖ちゃんからよくうぱおのスタンプが送られてくる。


「…つーか、やっぱり俺邪魔だったんじゃないの」

「え?」

「だって、別に俺いなくてもよかったんじゃ…」

「いや!あんたがいないとあたしがぼっちじゃん!!」


多分ここは、あたしが緋色と一緒にいたいからって言うのが正解だったんだと思う。


「い、今別に一緒に行きたい男子とか〜特にいないし?
緋色なら気楽に行けるでしょ?」

「俺には猫被る必要ないってこと?」

「猫被るって言うな!」

「実際そうだろ…」


あたしも素直になれないけど、緋色の態度にも一因はあると思う。
てかわかってはいたけど、緋色ってあたしのこと女子だと思ってないよね……。

こんなにかわいいあたしのこと、女子扱いしない男なんて緋色だけだよ。
なんか腹立ってきたな……。


「まあ確かに、華村なら緊張しないで話せるから…俺も気楽でいいかも」

「え……?」

「基本女子と何話していいかわかんないし、俺話題とかないし…」

「かるただけね!」

「うるさい」


あーあ、あたしってこんなに単純だったっけ?

こうやって気楽に話せる女子があたしだけとか…、そんなのめちゃくちゃ嬉しくない?


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