あざと女子の恋の歌はあざとくない。
「緋色が好き」
もう一度言ってみた。
やっぱり緋色は聞こえたらしかった。
「冗談…じゃないよね……?」
「冗談じゃないわよ。
冗談だって思いたいけど、好きになっちゃったんだもん」
「えっと……、」
「でも、付き合って欲しいとは思ってないから」
「え?」
緋色はまだ驚いたように目を丸くしてあたしを見つめる。
「だってあんた、今はかるたのことで頭いっぱいでしょ?」
「……。」
やっぱり否定しないわ、この男。
「どーせ今はかるたに勝てないってわかってるもん。
だから付き合って、とは言わない」
「華村…」
「でも、いつかあんたの口から、付き合って欲しいって言わせてみせる!」
そう言ってあたしは笑った。
あざといにあざといを重ね計算され尽くした笑顔じゃなく、ありのままのあたしで微笑んだ。
「だから、覚悟しててよね!」
カッコ悪くても、不器用でもいい。
かわいくないけど精一杯の恋の歌を、緋色だけに綴ってみせるから。
この歌が緋色の胸に響いた時、返歌をちょうだいね――?