幼馴染と、キス。
次の日。
佑斗は変わらず私の教室にやってきた。
数学の教科書貸してほしいって。
そんなの彼女に頼めばいいじゃん。なんて思ってしまったけど、そういえば2人は同じクラスなんだっけ。
「はい。」
佑斗の顔を見るとなんだか胸がズキズキするから極力見ないように教科書を手渡した。
「サンキュ」
すると佑斗は反対の手で私の頭を…
「………っ」
撫でられる前に、私は手でそれを遮った。
まるで拒否するかのように。
……いや、ちゃんと拒否だったと思う。
やめてほしかった。してほしくなかった。
だって
こういうことは
もう私にするべきじゃない。
「……千紗?」
「あっ……そろそろ授業始まるからっ」
何事も無かったみたいに私は席へと戻る。
佑斗の視線が痛いほどに感じたけど、今ここで振り返れば……きっと泣いちゃう気がする。
理由は分からない。
けど今はどうしようもなく胸が痛くて、寂しくて、ツラい。