年下男子は天邪鬼
「さてっ、金曜の夜のことちゃんと説明してもらおうかな?」

休憩室に入ると安斉さんが
自販機で買ったコーヒーの缶を
俺に手渡しながら言った。

俺はそれを「ありがとうございます」と言って恐縮しながら受け取る
と安斎さんの向かいのソファーに腰をかけた。

なんて言えば良いのだろう...
さすがにあの後、依子と寝たなんてことは
口が裂けても言えない..

俺が言葉を選んでいると
しびれをきらした安斉さんが
「お前、依子さんのこと好きなの?」
問い掛けてきた。

さすがにそれは嘘はつけない...

俺は「すみません。好きになってしまいました」謝りながら頭を下げる。

安斉さんはハアッとため息をつきながら
「やっぱりな..」と呟いた。

俺は「すみません」ともう一度謝罪する。

「いや、それは仕方ないことだから謝らなくていい。だけど..」

安斉さんはそこまで言って口を閉じた。
< 83 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop