Melts in your mouth




呼吸するのも憚られる。それ位、変な緊張感が走っていた。


ゴクリと生唾を飲み込んで、俯いた。どういう顔をすれば良いのか見当もつかなかったからだ



ドクドクと確実にド派手に脈を打っている心音だけが、体内に大きく響いている。自分の心臓が耳元に飛び出したんじゃないのかって程の音量だった。


平野に気づかれたらどうしよう。聞かれたくない。どうかこの馬鹿みたいに揺れている私の心がこの男に伝わりませんように。なんて、人生で初めてと言っても過言ではない乙女な思考を巡らせる。



「永琉先輩、熱ある?」

「…残念ながら元気。」

「じゃあ、体調が悪いからとか熱で頭が混乱していたからとかじゃなくて、ちゃんと永琉先輩の意思で俺の頭を撫でたってことだ。」

「あ、どうしようやっぱり熱あるかも…「ねぇ、先輩。」」



こちらを射抜く相手の眼差しが痛い。ジリジリと肌が灼けてしまいそうだ。

いつものふざけている口調とは明らかに違う平野の発言に、すっかりバグってしまっている私の鼓動が跳ねる。甘さと艶めかしさを孕んだ声色は、私の身体を冒している恋の病の進行を加速させる毒みたいだった。



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