ただ…傍にいたいだけ…
花火大会が終わり、客達が一斉に動き出す。

俺達も、押されるように動き出した。

「息苦しいぃぃぃ…」
カケが、押されながらもがく。

「だから言ったじゃん!時間おいて、帰ろって!」
それをナルが突っ込む。

俺はというと、スマホの画面を見ていた。

21:18

まだ、店あいてる。
確か、22時までだったはず。


雛葉に会いたい。


何故か、そんな思いに支配されていた。


「カケ、ナル!
俺、用を思い出した!」

俺は流れに逆らって、雛葉のいる店に向かった。



~翔琉・徳仁 side~

翔琉「あ、おい!琉輝!?
……………あーあ、行っちゃった(笑)」

徳仁「用って、雛葉さんとこだよね?絶対」

翔琉「間違いないな(笑)」

徳仁「だね(笑)」


翔琉「………琉輝ってさ」
徳仁「ん?」

翔琉「本気、なんだろうな」
徳仁「だと思うよ?
あんな琉輝、初めてだもん!」

翔琉「だよなぁー」

徳仁「びっくりだよね」

翔琉「ん?」

徳仁「あんな真剣に告白を断ってるの見た時“別人”かと思ったもん!」

翔琉「あぁ…だな……(笑)」

徳仁「いつもなら“ウゼー”とか“お前なんか興味ねぇ”って告白を断るのに、最近は“悪いが、俺は好きな女がいるんだ。諦めてくれ”って、ちゃんと断ってたもん」

翔琉「なんとか、気持ち通じ合わせてやりたいがな」
徳仁「ダメだよ!
雛葉さん、なんかありそうだもん!
変に僕達が入り込むのは、逆に関係を変にするから」

翔琉「わかってるよ!」


徳仁「…………でも、何なんだろ?」

翔琉「え?」

徳仁「“あの時の”雛葉さん、おかしかった」


鋭い視線と、苦しそうな涙。


翔琉「なんか、あるよな?絶対……」


徳仁「うん……」




~翔琉・徳仁 side 終~
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