ただ…傍にいたいだけ…
やっと店の近くまで着いたのはいいが、22時を過ぎていた。

「は?そんなかかったの!?」

当然だが、店は閉まっている。
「マジで……」


つか…俺、何やってんだろ……


例え開いていたとしても、俺に中に入るだけの勇気があるのだろうか……


「………帰ろ…」


踵を返し、帰ろうとすると……


「…………琉輝くん?」

雛葉の声が、後ろから聞こえてきた。


ピタッと止まる、俺。
でも、振り返れない。

するとタタタッと駆けてくる足音がして、雛葉が俺の前に来た。


「琉輝くん!」

「あ……」

「やっと、会えた!」

「え……」

「会いたかったから」

「え?え?」

会いたかったって……どうゆう意味?


「会って、謝りたかったの!」

「え?」

「あ、ちょっと待っててくれない?
私、まだ片付け終わってなくて……」

「うん」

「ごめんね!ちゃんと、家まで送るから!」

そう言って雛葉は、一度店に入った。


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