目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました

感情が一気に当時に引き戻された。


憂鬱な雨の日。さらに気持ちがどんよりすることに、通学路で派手に転んで……


でもそれをきっかけに、あの峰崎くんと初めて視線を交わして会話までできてしまった。


借りたタオルには、メッセージカードを添えて返すことにした。緊張で上手く話せなかったときの保険として。


最初、イラストのウサギが窒息しそうなほど小さな文字をびっしり書き込んだ。


でも、これは重すぎるなと反省して、シンプルな文面に書き直した。


それから雨を厭わずに、徒歩15分のパティスリーまで出かけた。


名前は難しくて忘れてしまったけれど、とにかくおいしそうでオシャレな焼き菓子を購入した。


それらを携えて峰崎くんの元へ向かうときには、心臓が口から飛び出そうなほどドキドキした。


「あ、あの……ありがとうございました」

「あれから気になってたんだけど、怪我とか大丈夫だった?」


その優しい問いかけに、私はコクコク頷くだけで精一杯だった。

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