目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました
「そのシャツ、今すぐお手洗いに行って水洗いしたほうがいいんじゃ……」
「シャツは別にいいよ。そんなことよりも俺、大学生になったら忙しくなって、平林さんのことを忘れられるんじゃないかって思ってたんだけど、むしろ逆だったんだ」
「えっ、えっ!?」
カフェに到着してから、まだ3分も経っていないのに、いきなり核心に触れそうで私はあたふたした。
けれどそのとき、店員さんが私のためにお水とおしぼりを運んできてくれた。
「ご注文はお決まりですか?」
私はメニューを開いてすらいなかった。
「まだなんで、少し時間をください」
峰崎くんが、しまった! という顔をした。
「かしこまりました。お決まりになりましたらお呼びください」
峰崎くんが小さくなって言った。
「ごめん。まだ注文もしてなかったのにいきなり……」
憧れのカッコいい峰崎くんではなかった。