星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
「……井筒さん、悩みがあったら話してください。 溜めておくのは、よくないですよ」


一瞬、私の心を読まれてしまったのかと思うくらい、ベストなタイミングで遠山くんが話し始めた。

多分、空を見上げながら思い詰めた表情でもしていたのだろう……。 考えていることが顔に出てしまうのも、私の癖だ。


「まったく、新人看護師がなに言っているのよ」

「……そうでしたね。 失礼いたしました」


そう言うと、遠山くんは持ってきたショルダーバッグを肩に掛け、ぴょんと軽快に堤防を降りた。
「帰りますか」と、私に向かって手を差し伸べる。


ずるい。 貴方はどうしてこんなにも、私の心をかき乱すの……。


その手を取ることはせずに、遠山くんに背を向けて堤防に再度腰を下ろした。


「私さぁ、両親が離婚してて」

「えっ?」


いきなり自分の話をし始めた私に、驚きを隠せないというような声を発する遠山くん。 
それもそうだろう。 なんの前触れもなく、突然こんな話をするんだもの。 彼の反応は間違ってはいない。

そんな遠山くんを気にすることなく、私は話を続けた。


「中学生のとき父親が……不倫して。 相手と一緒にいなくなちゃって。 それで、ずっと母親と過ごしてきたんだ」
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