星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
「……っ、ちょっと待って星七……この先は、ダメ。 退院してからにさせて?」

「……!」


そうだ。 ここ、病室だ。
しかも遠山くんは現在治療中だというのに、この先を進めてしまってはさすがにまずい。

そんなことも忘れてしまうくらい、2人の世界だった。

恥ずかしくなって熱くなった顔を両手で挟んで俯いていると、遠山くんが「あ、そういえば」と、なにかを思い出したように言う。


「ねぇ星七、『大空』って呼んでよ」

「えっ!? いきなりどうして……」

「さっきナースステーションの前で会ったとき、呼んでくれてたじゃん」


そういえば、さっきふいに現れた遠山くんを見て、呼び捨てで呼んでしまったかもしれない。

でも、そんな改めて『呼んで』と言われると恥ずかしくなってくる。


「いや……あれは咄嗟に出てきて」


とかなんとか言い訳をしているうちに、遠山くんの顔がぐっと近づいて「呼んで?」と甘い声で囁かれる。

一瞬にして耳元が熱くなり、心臓がバクバクと大きく動き始めた。
そういうことするのは、彼のずるいところ。


「大空」


そう言ったのと同時に、再び唇が塞がれた。 彼のキスは不思議なくらい、一瞬で私の全身をとろけさせる。

面会時間終了ギリギリまで、その日はずっとそんな風に触れ合っていた。
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