運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

冷酷王子の溺愛

 朝方まで抱き合った二人は、深い眠りについていた。桂の泣き声が朝を知らせる。

「ウ、ウッ」

 しゃくりあげるような可愛い泣き声に、先に気づいたのは怜だ。まだぐっすりと眠るさくらを起こさないように、桂を抱っこして寝室を出た。

 怜が抱っこするとすぐに機嫌が直る。賢いわが子にメロメロだ。

 桂に何を食べさせたらいいかはわからないが、さくらをもう少し寝かせてあげたい。

 怜自らフロントに連絡を入れた。

「おはようございます。神楽坂様。朝食のご準備をさせていただいてもよろしいですか?」
「あ、ああ。子供が何を食べるのかが……」
「昨日、辻様よりご注文をいただいております。アレルギーの有無なども確認させていただいております」

 いつの間にと思うが、今までも陸斗の仕事は完璧だった。さくらに確認してくれたのだろう。

「じゃあ、準備を頼む」
「畏まりました」

 程なくして、豪華な朝食が運ばれてきた。桂も匂いにつられ手を出している。

 セッティングをして、ホテルの従業員が出ていくと、怜は桂を膝に乗せ座る。


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