運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

弟と邪魔者

 神楽坂リゾートは、少しずつだが案が練られている。先日、さくら達と行った水族館での話から、ただ規模が大きいだけの施設ではダメだと気づき、再度話し合いがもたれた。

「未就学児までが遊べるエリアを考えてくれ」

 突然、怜が提案した時にはみんな驚いたが、話を聞けば小さい子供を持つ親からは、賛成の意見が多数出た。

 そこから、小学生が楽しめるアスレチックエリアや、中高生が楽しめるアクティビティまで、かなりの案が出だした。

「だが、決定的な何かがほしいな。沖縄らしくないものが……」
「「……」」

 確かに、一箇所にこれだけの施設があるリゾートは、神楽坂の魅力になりそうだが、特別な何かがほしいのだ。


 そして、本社から新たなメンバーが沖縄入りをした。

「兄さん」
「おう」

 陽は、久しぶりに会う兄に驚く。オンラインでは打ち合わせをしているが、直接会うのは数週間振りだろうか。怜が沖縄に来る前からすれ違っていて会えていなかったのだ。

「なんかあった?」
「何がだ?」
「雰囲気が……」

 戸惑う陽を押し退けるように、一人の女が声を掛けてきた。

「神楽坂社長、お疲れ様です〜」

< 132 / 235 >

この作品をシェア

pagetop