運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

嵐がやってきた

　昼間に江藤の件が片付き、夕食は宿泊しているホテルで済ませ、怜の滞在するスイートルームで陸斗と陽と共に仕事をしていた時だった。

　フロントからの内線が鳴る。

「はい」陸斗が応対する。

「ええっ！？」

　いつも冷静な陸斗がいきなり素っ頓狂な声を上げた。

「どうした？」
「それが……」
「なんだ？」

　言い淀む陸斗に嫌な予感しかしない。

「ご両親が……」
「「えっ！？」」

　兄弟揃って驚きの声を上げる。確かに、両親はフットワークが軽く、思い立ったら即行動をするタイプだ。昼間の怜の爆弾発言に、明日には沖縄にやって来るかもしれないと予想していたが……。

　予想の遥か上をいく行動力だった。
　
「はぁ〜。来たものは仕方ない。追い返すわけにもいかないだろう。ここに通してもらってくれ。多分部屋も取ってないだろうから、手配も頼む」
「わかった。フロントに行ってくる」

　陸斗が部屋から出て行き、兄弟はこれからやって来る自分達の両親を思いため息しかない。今は、会長という立場で毎日は出社していない。そして、昼間の電話では母の声も聞こえた。

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