運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
 怜が東京に戻り空いている時は、怜の祖父と両親が、さくらと桂に会いに来て滞在する時に使用したいと言われた。

 リゾートマンションを購入すると聞き、さくらは驚き反対した。会いたいし、会いに来てくれるのは嬉しいが、まだ新しく人気の地域に建てられたマンションは驚く程の価格なのだ。

 販売開始をした時には、地元でも話題になった。そして、今回売りに出ていた部屋は最上階の広い部屋だけだったのだ。

 高台からは海が見え絶好のロケーションのマンションは、販売当時あっという間に完売し、タイミングよく売り物件があったことに驚く。
 
 店からも歩いて十五分程度と近い。神楽坂家が満場一致で購入を決めた。さくらには鍵を預けられ、いつでも出入りをしていいと言われているが、桂とふたりでは広すぎる。

 そして東京に戻った怜からは、毎日連絡がある。

「さくら、何か変わったことはないか?」
「うん」
「早く会いたい……」
「私も」
「早く抱きたい……」
「……」
 
 いつもさくらが赤面するような言葉を囁やき電話が切られる。数日前に、沖縄に来たばかりだが、もう恋しいのだ。さくらからは敬語が抜け、二人の関係はより親密になっている。


< 195 / 235 >

この作品をシェア

pagetop