運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
「えっ、そうなんですか?」
「私も住んでるし、今は女性専用の住まいにしてるの。一戸空きがあるから、良かったら住まない?」
「いいんですか?」
「もちろん。今までの住まいはどうするの?まだ借りたままよね?」
「残りの荷物も少ないので、管理会社に連絡して処分と解約をお願いします」
「じゃあ、明日にでも案内するわね」

 さくらは、本格的にこの地に住むことにした。実は、仕事も見つけたのだ。求人サイトでテレワークのみでオッケーな翻訳の仕事を探し、採用されたのだ。

 英語が堪能なさくらは、今までも何度か翻訳の仕事をしたことがあり、実績実力共に申し分ないと採用された。

 翌日、見せてもらった部屋は、今まで一人暮らしをしていた部屋より広くて綺麗なのに、家賃は半分以下だ。都会の物価は高いのだと改めて思う。家具家電も以前住んでいた人が置いていった物はそのまま使える。最小限の出費で済みそうだ。

 管理会社にも連絡を入れ、今月の家賃と処分代を引き落としてもらうことで話がついた。

 ここに来て一ヶ月経った頃には生活基盤ができ、どん底だったさくらはもういない。

 何もかも順調だが思わぬ出来事が待っていた……。

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