運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
「どこで出会ったんだ?」

 常に行動を共にしている陸斗には、当然の疑問だ。

「田崎のパーティー」
「えっ!?あっお前、俺に全て押し付けて早々に会場から姿を消したから何かあるとは思ってたけど、出会った日に部屋へ連れ込んでたのか?」
「お前の言い方だと、俺が遊び人のように聞こえて心外だが、さくらは俺の運命の相手だ」
「そのさくらちゃんは、どこの誰なんだ?」
「なんかお前にさくらちゃんと言われると腹が立つな」
「なんでだよ!さくらちゃん以外呼びようがないだろ」

 怜が女性に執着する日が来るなんて、まだ信じられない。しかも、必死になる怜を見られるなんて。神楽坂グループの御曹司でイケメンの怜は、とにかく目を引く。世界各国から縁談の申し入れがあるが、全て断ってきた。後継者を考えると一生独身では困るが、怜が興味を示さないとどうにもならない。

「さくらという名前と田崎の秘書としか分からない」
「えっ?田崎って婚約発表した田崎悠太?」
「ああ」
「秘書ってことは月島さんか。お前、面食いだな」

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