運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

新しい生活と変化

　沖縄に来て彩葉と出会い、生活をこの地に移した。昼間は翻訳の仕事をし、夜は彩葉の店の人手が足りないときには手伝っている。手伝いをしていない日も店で夕飯を食べ、常連客と楽しく過ごしている。彩葉だけでなく、さくら目当てに来てくれる人がたくさんいるのだ。

　お客さんは、地元の常連客と周辺のリゾートホテルの宿泊客が半々くらいで、いつも賑わっている。

　料理は彩葉の祖母のレシピが受け継がれ、美味しくてついつい食べすぎてしまう。

　以前より食べる量が増えている。痩身で太らない体質だと思っていたさくらだが、少しウエスト周りが大きくなった気がしている。このままでは、太ってしまいそうだ。

　体重増加を気にしていたさくらだったが、今度は突然食べられなくなった。ずっと、胃のあたりがムカムカするのだ。

「さくらちゃん、最近顔色悪くない？体調悪い？」

　心配を掛けまいと数日黙っていたが、とうとう気づかれてしまった。

「実は、数日前から胃のあたりがムカムカして」
「何か思い当たることはないの？」
「はい……。アレルギーも、ありませんし」
「無理はしないように。何かあったら遠慮せずに言うのよ」
「はい」

　彩葉には素直になれる。