運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
 その後も、体調は悪くなる一方だ。何か口に入れた途端、トイレに駆け込み嘔吐してしまう。

 ここ数日は、彩葉の店に行くこともままならず寝込んでいる。

「さくらちゃん大丈夫?」

 彩葉が心配して様子を見に来てくれる。

「吐き気が治まらなくて……」
「熱は?」
「ないです」
「他に症状は?」
「それが、全くなくて」
「ねえ、さくらちゃん。生理は順調にきてる?」
「えっ!?」
「彼氏だと思っていた人に裏切られた話は聞いてるけど、最近まで彼氏がいたわけだし避妊をしていても絶対に妊娠しないわけではないわよ?」
「……」

 彩葉に、沖縄に来た理由である悠太の話はしていた。だが、もし万が一妊娠しているとしたら、悠太の子ではない。悠太との行為は、最後の生理の前だ。可能性があるとするなら、パーティーの日の王子だ。避妊はしてくれていたが、最後まではっきりとは記憶がない。しかも、ちょうど排卵日あたりだった気がする。

「何か心当たりがあるようね?」
「はい……」

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