運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

二年の歳月

 田崎のパーティーでさくらに惚れ一夜を共にし、帰国したら彼女とこれからのことを話し合おうと思っていた。

 ところが現実は、仕事を辞めて住まいも解約され行方が分からない。途方に暮れる。

「これからどうする?」

 陸斗に聞かれても、怜の答えはひとつしかない。

「一生掛かってもさくらを探す。諦めるなんてありえない」
「……。そんな簡単に見つかるとは思えないけど」
「誰になんと言われようが、俺の相手はさくらしかいない」

 ここまで怜に言わせるのだ。どんな縁談がきても、どんな女性が近寄ってきても取り付く島もないだろう。

「田崎の方はどうする?」
「暫くはほっとけ。今は父親が仕切ってるからいいが、あいつの代になったらダメだろう。その時が来たら、うちとは縁を切ればいい。ただ、切るにもそれなりの理由がいる。監視はしといてくれ」
「ああ。あいつらだけ結婚してもいいのか?」
「アホとクソ女だろう?どうせ上手く行くわけない。ヤツも直ぐに腹黒女に気づいて後悔するさ。さくらを選んだことは褒めてやるが、最終的に選んだのがあれだぞ」


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