運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

あと一歩の距離

 陸斗のスマホに、開発チームのメンバーから連絡があり店を出た。どうやら、今日の宿泊先が近かったようで、挨拶に来たようだ。急遽ホテルに戻ることにした。

 お会計をお願いするために、カウンターの中に向かって何度か呼びかけるが、なかなか反応がなかった。何か考え事をしていたのか……。

 店を出て、ホテルまでの道程を歩く。

「結局、なにもわからなかったな」
「いや、間違いなく彼女はさくらを知っている」
「えっ?彼女嘘をついているのか?」
「嘘をついたのか、言えない何かがあるのかわからないが、絶対何かを知っている」

 断言する怜に否定する言葉はない。怜は何かを感じたのだろう。ただ、限られた時間で沖縄に来ているのだ。さくら探しに時間はあまり使えない。

 ホテルに戻ると、怜の到着を待つ開発チームのメンバーが揃っていた。

「陸斗、会議が出来そうな部屋を借りてくれ」
「わかった」

 先程の店で何かを感じた怜は、少しでも仕事を進め、さくら探しに時間を使いたい。もう、すぐそこにさくらがいると確信している。

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