シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「大翔、今までありがとう。離婚しても元気でいてね」

　泣きながら、精一杯明るく笑顔で伝えた。

　すると、大翔から予想外の言葉が返ってきた。

「は？ 離婚なんかしないけど」

　涙が一瞬で止まった。

「え？ なんで？」

「なんでって、こっちが聞きたい。なに離婚って」

　は？

　空いた口が塞がらないとはこのことだ。

「え、最後の晩餐じゃないの？」

「違うよ、むしろ今日から本当の結婚生活が始まるって気持ちで用意したのに」

「なんで？」

「いや、なんでと言われても……」

　大翔は都合が悪そうに目を泳がせた。

「でも、離婚はしないといけないじゃん。私たち、離婚前提の契約結婚なんだから」

　すると大翔は急に真剣な顔をして向き直った。