シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「そのことなんだけど。契約結婚は終わりにしないか? もちろん、離婚前提というのもなしで」

「どういうこと?」

「俺たち、本当の夫婦にならないか?」

 時が止まる。大翔はなにを言っているんだろう。

「……どうして?」

 声が震えてしまっていた。そんな提案されるとは思ってもいなかったから。

「捺美のことが好きだから。ずっと一緒にいてほしい」

 夢だろうか。こんな幸せなことが起こるだなんて。

 気がついたら、さっきとはまったく違う感情の涙が、ポロリと零れていた。

「私で、いいの?」

「捺美がいい。捺美以外、考えられない。俺の妻は、生涯、捺美一人だけだ」

 そう言って、大翔は私を抱きしめた。

「捺美は、俺でいい?」

「大翔じゃなきゃ嫌だ」

 抱きしめる力が強くなった。大翔の腕のぬくもりから愛されていることが感じられる。

 全身から愛が伝わってくる。

「今夜は、俺の部屋で寝よう」

 温かで満たされる気持ちから一変、妙な緊張で包まれる。

「嫌?」

「……嫌、じゃ……ない」



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