シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 私はどうやら見た目が良く生まれたらしい。

それはとても恵まれていることだと世間からは思われている。

 でも、人より優れた容姿を持つということは、それだけ目立ち、嫉妬されるということでもある。

恵まれた人間は、多少不幸になっても構わないだろうという謎の論理が発生する。

 私がもっと、上手く人間関係を作れたら、理不尽な足の引っ張りも、私を陥れる悪質な嘘からも、誰かが助けて守ってくれたかもしれない。

 でも私は誰にも心を開けなかったから、誰にも助けてもらえなかった。

だから私は、自分で身を守るすべを覚えたし、頑なに人を寄せつけないことで、自分を守ろうとした。

 もっと上手に世の中を渡っていける人からしたら、私はとても不器用で下手くそな生き方なのだと思う。

 でも、誰も上手く生きる方法を教えてくれなかったし、理論としてわかっていても、実際にできるかどうかはまた別の話だ。
 


そんな私が、初めて人を好きになった。

 どうして大翔を好きになったかなんて、理由をあげたら数えきれないくらいたくさん出てくるだろうと思うほど素敵な人だけれど、本当の理由は私でもよくわからない。

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