シンデレラは王子様と離婚することになりました。

神様のプレゼント

 大企業の御曹司である大翔と、虐げられた環境で育った私。

決して交わることなどない世界で生きてきたのに、このたび私たちは名実ともに本物の夫婦となった。

 互いのぬくもりを感じながら、一つのベッドで眠るとき、胸の中が幸福感に満たされた。

 今までずっと、どこか虚しくて、寂しくて、愛情に飢えていた。

 傷つくことが怖くて、誰にも心を開けずにいた。

誰かを好きになるという感情がよくわからなくて、必要以上に近付くことが怖かった。

 人間は怖い存在だと思って生きてきた。

悪意のある人間は、罪悪感なく人を傷つけることができて、どんなに正論を投げかけても良心の呵責に苛まれることはない。

 どんなに酷いことをしても、悪いなんて思っていないし、むしろ『この経験はあなたのためになる』なんて、どこをどうやったらそう思えるのか到底理解できない思考回路で自身を正当化させたりする。
< 197 / 283 >

この作品をシェア

pagetop