【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
「あの、社長……会社は……」

「寝ぼけているのか? 今日は土曜だろ」

 ああ、そうだった! 一気に体の力が抜ける。

そういえば今日は土曜日。だから目覚ましのアラームが鳴らなかったんだ。

「突っ立ってないで、座れよ。なに飲む?」

「あ、じゃあ……オレンジジュースで」

「オッケー」

 グラスにオレンジジュースを注いで手渡される。

 なんで私、こんなおもてなしをされているのだろう。

「社長って、料理するんですね」

「いや、普段はまったく作らない」

 普段作らないのに、このクオリティ……。やっぱり天才?

「じゃあ、今日はどうして……」

 おそるおそる問いかけると、社長は一瞬間を置いて答えた。

「お前が、食べると思ったから」

 心臓がどきんと跳ねる。

 それって……つまり、私のため?

 思わず視線を落とし、並べられた朝食を見つめる。

「あ……ありがとうございます。いただきます」

 なんだか気恥ずかしくて、社長の顔をまともに見られない。

どうしてこんなに優しくされるのだろう。

 エッグベネディクトにナイフを入れると、とろりと半熟卵が溢れだした。

一口大に切って、そっと口に運ぶ。

「……美味しい」
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