【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 私は冷凍庫から棒アイスを取り出し、ぱくりと口にくわえてから、当然のように彼の隣へ。

 書類を覗きこむと英文で、すぐに読む気が失せる。

「仕事?」

「うん」

「大変だねぇ」

大翔の肩に背を寄せ、もたれながらアイスを食べる。

仕事の邪魔をしないでおこう……なんて発想は、私には残念ながらない。

「重い」

「そうか、頑張れ」

社長なのをすっかり忘れているような態度。

でも違う。もう私にとって大翔は“社長”じゃなくて、ただの“大翔”なのだ。

「人の肩を背もたれにして、優雅にアイスとはさすがだな」

「うむ、くるしゅうない」

 ふっと笑って、また書類に視線を落とす大翔。

わがままも甘えも、全部受け入れてくれる。

彼のそばにいると、自分らしくいられる。

 胸の奥から、じんわりと温かい気持ちが広がっていく。

大翔の隣は、本当に居心地がいい。

「俺にもエネルギー補給させろ」

「ひゃあっ」

 突然動いた大翔に驚いて、私はソファに頭を落としてしまった。
< 97 / 235 >

この作品をシェア

pagetop