【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
真上から覗きこむ彼の瞳は、少しいたずらっぽくて、それでもやっぱりかっこいい。

不敵な笑みがよく似合っている。

「キスしていい?」

 え、エネルギー補給って……そういう意味?

「アイス溶ける」

「俺よりアイスが大事なのか」

 少しだけ拗ねたような表情も可愛くて、胸がきゅんとする。

「……アイスが溶けないうちなら、いいよ」

 大翔はふっと笑い、軽く唇を重ねてきた。

 それで終わると思ったのに、啄むように、何度も何度も。

リップ音が重なって、甘さに体が熱くなっていく。

 目を閉じてキスを受け入れていると、ぽとりと鎖骨に冷たいものが落ちた。

「溶けた……」

 私がつぶやくと、大翔はその水滴をぺろりと舐めとった。

「まだ溶けてない」

 そう囁いて、また唇を重ねてくる。

 ──もう、アイスなんてどうでもいい。

 だって、大翔のキスの方がずっと甘いから。

< 98 / 235 >

この作品をシェア

pagetop