【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

第七章　離婚までのカウントダウン

甘くて穏やかな日々は、夢のように数週間続いた。

　隣に大翔がいるのが当たり前になって、このまま永遠に続けばいい──そんな風に願う自分がいる。

　けれど、それは叶わない。

　この結婚は、あくまで離婚ありきの契約結婚。

終わりは、必ずやってくる。

　――そして、その日は唐突に訪れた。

　大翔のおじい様が、息を引き取られたのだ。

　医師の診立て通りとはいえ、結婚式であれほど喜んでくれた姿を思い出すと、あまりに残酷で胸が締めつけられる。

　同時に、足元からすべてが崩れ落ちていくような怖ろしさに襲われた。

　訃報が入ってからは怒涛のような日々だった。

葬儀の準備に会社全体が奔走し、マスコミも押し寄せてくる。

大翔のおじい様が、どれほど偉大な人物だったのかを痛感した。

　大翔は冷静に振る舞っていたけれど、その顔色は真っ白で、疲労に覆われていた。

たったひとりの肉親を失う喪失感は、私には想像するしかできない。

　だからせめて、妻として寄り添おうと思った。

たとえ“契約妻”であっても、今はまだ彼の妻なのだから。

　大規模な葬儀が終わると、押し寄せるのは脱力感だった。
< 99 / 235 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop