溺愛幼なじみは甘くて強引
「どうぞ」
「お、お邪魔します……っ」
ガチャ――とドアを開ける。
部屋の真ん中にローテーブルを置き、課題らしきものをしている理央。
まだ制服を着ているけど、家ならではの雰囲気が漂っていて……。
懲りずにドキドキしてしまう私。
「南月?どうしたの、入って」
「は、ふぁい!」
「ぷっ、ふぁいって何?」
眉を八の字にして笑う理央。
この笑顔を身近で見てきて、どうして今までときめかなかったのか不思議。
小学校の私も、中学校の私も――いったい、何を見てたんだろう。
いつも私の隣には、こんなにカッコイイ人がいたのに。
「一緒にする?数学の課題。今日ちょっと難しかったでしょ?」
「あ!うん。教えてくれると助かる、です」
「ぷっ、はい。オッケーです」
理央の、へにゃっと笑った顔。
はい、だって。
オッケーです、だって。
ぬううぅぅ……。
キュンポイントが加算されまくっている。どうしよう、振られた相手に抱いていい感情じゃない。
潔く、スッパリ諦めないと――