憧れのCEOは一途女子を愛でる
「百合菜と話してみる」
「無駄だ」
「それでも、このまま終わらせるのは無理だから」
三人で話そうと提案しても、どうせ拒否されただろう。加那太はそういう人だ。
すっくと椅子から立ち上がって加那太に視線を送ったが、彼はなにも言わずに渋い顔をしたままだった。私はバッグとコートを腕にかけ、急いでお店の外に出た。
最後に罵る言葉で終わらせたくなかったし、今までありがとうと感謝の言葉を言ったほうがよかっただろうか。
加那太はどう思っているかわからないけれど、私は一緒にいられて幸せだった時期もあった。そんなことが頭をよぎると、堰を切ったようにポロポロと涙があふれた。
とりあえず家に帰り、自室でベッドの縁に腰をかけて百合菜に電話をかけるためにスマホを操作する。
『もしもし。電話がかかってくるなんてビックリ。冴実は控えめな性格だから、ただ泣くだけなのかと思ってた。それで、別れ話は終わったの?』
百合菜は私と加那太が今夜会うと知っていたらしい。きちん別れてくると、加那太が事前に話していたのだろう。
それにしても、悪びれた感じが一切しない彼女の声は非常に気味が悪い。
「百合菜、まずは謝罪するべきじゃない?」
『私と付き合いたいって言ったのは加那太だし、冴実がやらせてくれないって嘆いててかわいそうだったのよ。私が謝る必要ないんじゃないかな』
飄々として開き直る百合菜の言葉を聞いていると、だんだん胸がムカムカとしてくる。
「ずっと私に内緒で加那太と会ってたんでしょ? 友達の彼氏だってわかってて……」
『冴実とは大学の学部が同じだったからなんとなく一緒にいただけで、私は友達だなんて思ってないけど』
「無駄だ」
「それでも、このまま終わらせるのは無理だから」
三人で話そうと提案しても、どうせ拒否されただろう。加那太はそういう人だ。
すっくと椅子から立ち上がって加那太に視線を送ったが、彼はなにも言わずに渋い顔をしたままだった。私はバッグとコートを腕にかけ、急いでお店の外に出た。
最後に罵る言葉で終わらせたくなかったし、今までありがとうと感謝の言葉を言ったほうがよかっただろうか。
加那太はどう思っているかわからないけれど、私は一緒にいられて幸せだった時期もあった。そんなことが頭をよぎると、堰を切ったようにポロポロと涙があふれた。
とりあえず家に帰り、自室でベッドの縁に腰をかけて百合菜に電話をかけるためにスマホを操作する。
『もしもし。電話がかかってくるなんてビックリ。冴実は控えめな性格だから、ただ泣くだけなのかと思ってた。それで、別れ話は終わったの?』
百合菜は私と加那太が今夜会うと知っていたらしい。きちん別れてくると、加那太が事前に話していたのだろう。
それにしても、悪びれた感じが一切しない彼女の声は非常に気味が悪い。
「百合菜、まずは謝罪するべきじゃない?」
『私と付き合いたいって言ったのは加那太だし、冴実がやらせてくれないって嘆いててかわいそうだったのよ。私が謝る必要ないんじゃないかな』
飄々として開き直る百合菜の言葉を聞いていると、だんだん胸がムカムカとしてくる。
「ずっと私に内緒で加那太と会ってたんでしょ? 友達の彼氏だってわかってて……」
『冴実とは大学の学部が同じだったからなんとなく一緒にいただけで、私は友達だなんて思ってないけど』