憧れのCEOは一途女子を愛でる
§6.君との縁
***

 俺と朔也には毎年六月に前もって決まっている仕事が一日だけ存在する。
 来年の春に新卒で入社してくる人材を選考する最終面接の面接官だ。

 昨今ではインターンシップ制度を取り入れている企業も多く、我が社も毎年前年の夏から学生たちに参加を募っている。
 政府主導の就活ルールというのがあるものの年々早期化している傾向にあり、うちも俺と朔也が面接官になるのは六月の最終面接だけで、それまでに人事部がある程度の選考を済ませている。

 例年通り、四年前のこの日も、俺は面接官として会議室の正面に並べられたテーブルの真ん中の椅子に腰を下ろした。

「なかなか粒ぞろいじゃないか?」

 書類に目を通しつつ、隣に座る朔也が俺にチラリと視線を寄こした。
 この男はプライベートでは冗談ばかり言う明朗快活な性格だけれど、いざ仕事となると人が変わったように真剣になる。

「誰か気になった人はいますか?」

 全員の面接が終わったところで人事部の部長が俺に感想を求めてきた。

「みんなやる気があってフレッシュでいいと思う。特に、十五番」

「あ、香椎さんですね。彼女は真面目さが取り柄のようで……」

「採用で。内定を出しておいてください」

 俺と人事部長のやり取りを聞いていた朔也が驚いて目を丸くした。

「即決するなんて珍しいな」

「なんとなくだけど、彼女はうちの戦力になる気がする」

「さっきの面接はめちゃくちゃ緊張してたけどね」

 たしかに朔也の言うとおり、面接での彼女は心臓が口から飛び出そうなほど緊張していて指先が小刻みに震えていた。
 その様子を思い出したのか、朔也が口元に手をやってニヤニヤと笑っている。

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