恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「急なお願いにもかかわらず、お時間いただきありがとうございます」
彰人さんの言葉に、両親は「いえ!」と声をハモらせる。
「私は筧地所株式会社代表取締役を務めております、筧彰人と申します」
「代表取締役!?」
コントのように両親が声を揃えて反応して、恥ずかしくて俯き加減になってしまう。
「か、筧地所の、社長さん……?」
父の動揺は半端なく、若干失礼な態度だ。でも、父が取り乱すのもわかる。この状況で平然として対応できる一般庶民なんてきっと存在しない。
「まだまだ未熟者ですが、日々精進していく所存です」
まったく不足のない彰人さんの自己紹介と、ますます落ち着けない両親。この場でまともなのは、彰人さんただひとりだ。
「今日はお願いがあり、伺いました」
いよいよ話が本題に入っていくのを察し、ごくりと喉が鳴る。
両親の視線がじっと彰人さんに注がれた。
「里穂子さんを、私にいただけないでしょうか」
その場の時が一瞬止まったような、そんな感覚に陥る。
父も母も、彰人さんの顔をじっと見つめたまま、驚いた表情で静止している。
彰人さんは真剣な表情でじっと両親の返答を待っていて、もう一度自分の喉がごくりと音を立てた。