恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
エントランス周辺には、これからパーティーに参加すると思しき装いの人々があちこちにいる。
男性はフォーマルスーツに身を包み、女性はアフタヌーンドレスやカクテルドレスに身に包む。どの人を見ても衣装に着られている人なんていなくて、フォーマルな装いに慣れた立ち振る舞いだ。
本当に私がついてきてしまってよかったのだろうかと不安になりかけたとき、彰人さんが「里穂子、おいで」と私の手を取った。
「は、はい」
彰人さんは私の手を、自分の腕に掴まるように持っていく。慣れないことで彰人さんのスーツに触れた手が落ち着かない。
ちらりと横を見上げると、今日は額を出したアップバングにきっちりとヘアセットした彰人さんの涼しげな表情が目に映る。
パーティー仕様な彼は、普段に増して周囲の人々の視線を釘付けにしている。なにか特別なオーラを放っているのは間違いない。
そんな視線を奪う彰人さんの腕に掴まっているのが私というのが、どうもやっぱり落ち着かない。
豪華なドレスを身に着けても、プロのヘアメイクを施してもらっていても、一般庶民として生きてきた人生はどうしたって滲み出るもの。
こうして歩いているだけでも、ヒールの高いパンプスでは足もとが覚束ないし、きっと、見る人が見れば慣れていないのもわかるし、隠しきれていない。