恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 正装に身を包んだ人たちがあちらこちらで談笑する会場に入っていくと、正面、中央に掲げられた『筧地所株式会社創立三十周年』という文字が目に飛び込んでくる。


「社長、会長がお探しとのことです」


 雪島からの知らせに、会場内にいるはずの父の姿を探す。


「彰人」


 仕立てのいい細身のスーツに身を包み、白髪混じりの髪をオールバックにきっちりとセットした父は、その奥二重の目と視線が合っただけでただならぬ威厳を感じる。

 となりに寄り添う母はダークシルバーのロングドレスを身に纏い、長い髪を夜会巻きにしてアップにしていた。黒髪の艶はもちろん、肌も皺がなく年齢を感じさせない。


「遅かったな」

「すみません。ひとつ前の約束が少し押しまして」


 父と言葉を交わしていると、横から母親が「彰人さん」と話を割って入る。

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