恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
自分は最低でどうしようもない人間なのかもしれないと思いはじめ、ますます涙が溢れ出す。
体から力が抜け、床に崩れ落ちるようにして嗚咽を漏らしていたとき、背後でドアが開く音がした。
ハッと我に返って振り返った私を、ドアノブに手をかけたままの筧さんがじっと見つめている。
慌てて手に持つタオルハンカチで涙を押さえたものの、筧さんは「どうした」と部屋に入ってきた。
「なんでも、ありません」
泣いている姿なんて見られるつもりはなかった。気まずすぎて、顔を俯ける。
でも、隠してみてもすぐには治まらず、乱れた呼吸のせいで肩が小刻みに揺れる。
「そんなにシクシク泣いて、なんでもないはないだろ」
慌てて涙を拭い、何事もなかったように無理に笑顔を作ってみせる。
「すみません、本当に、なんでもないですから」
見せた顔は涙で濡れてしまっているけれど、大丈夫だと主張する。
筧さんがすぐそばにまで近付いてきて、前置きなく私の腕を掴んだ。