契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
第八章 ミクの裏切り
心配してないさ」

ミクは図星をつかれたように落ち込んで俯いた。

真人はミクを車に乗せて、ホテルに向かった。

ミクは促されるままにホテルに入った。

運が悪いとはこのことを言うのだろう。

真人のマンションから戻ってきた省吾は、真人と一緒にホテルに入るミクの姿を見た。
ミク、どうして、お前は元彼が好きなのか。

神の悪戯か、省吾とミクはお互いの気持ちが伝わらないまま、時間は過ぎて行った。
ホテルに入ると、真人はミクを引き寄せ抱きしめた。

「真人」

ダメとわかっていながら、省吾にもう会えない悲しみから、真人の強引さに逆らえなかった。

ミクは真人と唇を重ねた。

走馬灯のように、真人との抱擁がミクの頭をよぎった。

ミクは真人との恋愛が最後と思っていた。

それだけ、真人を愛していた。

「ミク、ミク」

真人の唇はミクの首筋を這う。

甘い声が漏れた。

「ああ、あ~ん」

「ミク、かわいいよ、ミクは俺に感じてくれているんだな」

でも次の瞬間、ミクを抱いているのは省吾だった。
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