幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
「素敵ですね。訪問演奏とか出前授業とかですか?」
「ああ。小学校や地域の施設に行ってね。オーケストラ、古典芸能、ありとあらゆる芸術家達を橋渡しして色々な場所で披露してもらおうと思っている。朱里ちゃん、その仕事やってみないかい?」
はっ?と朱里は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「お、おじ様?いきなり何を…」
「いや、常々感心してたんだ。マンションの住人に喜ばれるように、朱里ちゃん達は工夫を凝らして演奏会を開いてくれる。ぜひそのホスピタリティを生かしてもらえないかな?大学に通いながら、インターンシップとして我が社で働いて欲しい」
「そ、そんな、私にはとても…」
「難しく考える必要はないよ。だって、既にやってくれてるじゃないか。あんなふうに、どの場所にどんなニーズがあって、どんなことをすれば喜ばれるかを考えて欲しいんだ。まあ、イベントの企画みたいなもんだね」
朱里はじっくりと耳を傾ける。
確かに以前から、幅広い視野で幼児教育に携わりたいと漠然と考えていた。
これなら、自分のやりたい事が出来るのではないか?
でも本当に自分でいいのか?
朱里は下を向いて、うーんと考え込む。
「朱里ちゃん。迷ってるってことは、少しは興味がある?」
「え?はい、そうですね。将来やりたいと考えていた事にも近いですし、興味はあります。ただ、私は桐生ホールディングスのような大きな企業に関われる器はないので…」
すると瑛の父はおかしそうに笑い始めた。
「朱里ちゃん、どんな器を想像しているのか知らないけど、器なんていらないよ。それに朱里ちゃんのことは、ずっと幼い頃から知っている。その私が、朱里ちゃんならと確信してお願いしてるんだ。どうか、引き受けてくれないかな?」
「えっと…。大学もまだ通いながらになりますが」
「もちろん、構わないよ」
「ご期待に添える自信もありませんが…」
「大丈夫だよ。朱里ちゃんなら期待以上の働きをしてくれると思っている」
ひー!と朱里は仰け反る。
「そ、それは無理です!絶対に!」
「ははは、冗談だよ。とにかく一度やってみてくれないか?続けるかどうかは朱里ちゃん次第だよ。並行して好きな企業に就職活動してくれて構わない」
それはとても魅力的だった。
色んな会社を知っておきたいし、ましてや桐生ホールディングスの仕事を手伝えるのだ。
こんなチャンスは他にない。
思い切って朱里は頷いた。
「分かりました。私に出来る事を精一杯やらせてください」
「本当かい?!いやー、良かった!ありがとう、朱里ちゃん」
「いえ、こちらこそ。もし私があまりにも使えなかったら、遠慮なくクビになさってくださいね」
「そんな事はあり得ないがね。それと今後、CSR活動については、瑛が取りまとめていきなさい」
は?と、瑛の声と朱里の声が重なる。
「朱里ちゃんは主に芸術関連事業、瑛はその他の事業をまとめて、お互い協力しあって欲しい。詳しいことはまた社で改めて話そう。いやー、楽しみだなー」
そう言って瑛の父は美味しそうにお酒を飲んでいた。
「ああ。小学校や地域の施設に行ってね。オーケストラ、古典芸能、ありとあらゆる芸術家達を橋渡しして色々な場所で披露してもらおうと思っている。朱里ちゃん、その仕事やってみないかい?」
はっ?と朱里は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「お、おじ様?いきなり何を…」
「いや、常々感心してたんだ。マンションの住人に喜ばれるように、朱里ちゃん達は工夫を凝らして演奏会を開いてくれる。ぜひそのホスピタリティを生かしてもらえないかな?大学に通いながら、インターンシップとして我が社で働いて欲しい」
「そ、そんな、私にはとても…」
「難しく考える必要はないよ。だって、既にやってくれてるじゃないか。あんなふうに、どの場所にどんなニーズがあって、どんなことをすれば喜ばれるかを考えて欲しいんだ。まあ、イベントの企画みたいなもんだね」
朱里はじっくりと耳を傾ける。
確かに以前から、幅広い視野で幼児教育に携わりたいと漠然と考えていた。
これなら、自分のやりたい事が出来るのではないか?
でも本当に自分でいいのか?
朱里は下を向いて、うーんと考え込む。
「朱里ちゃん。迷ってるってことは、少しは興味がある?」
「え?はい、そうですね。将来やりたいと考えていた事にも近いですし、興味はあります。ただ、私は桐生ホールディングスのような大きな企業に関われる器はないので…」
すると瑛の父はおかしそうに笑い始めた。
「朱里ちゃん、どんな器を想像しているのか知らないけど、器なんていらないよ。それに朱里ちゃんのことは、ずっと幼い頃から知っている。その私が、朱里ちゃんならと確信してお願いしてるんだ。どうか、引き受けてくれないかな?」
「えっと…。大学もまだ通いながらになりますが」
「もちろん、構わないよ」
「ご期待に添える自信もありませんが…」
「大丈夫だよ。朱里ちゃんなら期待以上の働きをしてくれると思っている」
ひー!と朱里は仰け反る。
「そ、それは無理です!絶対に!」
「ははは、冗談だよ。とにかく一度やってみてくれないか?続けるかどうかは朱里ちゃん次第だよ。並行して好きな企業に就職活動してくれて構わない」
それはとても魅力的だった。
色んな会社を知っておきたいし、ましてや桐生ホールディングスの仕事を手伝えるのだ。
こんなチャンスは他にない。
思い切って朱里は頷いた。
「分かりました。私に出来る事を精一杯やらせてください」
「本当かい?!いやー、良かった!ありがとう、朱里ちゃん」
「いえ、こちらこそ。もし私があまりにも使えなかったら、遠慮なくクビになさってくださいね」
「そんな事はあり得ないがね。それと今後、CSR活動については、瑛が取りまとめていきなさい」
は?と、瑛の声と朱里の声が重なる。
「朱里ちゃんは主に芸術関連事業、瑛はその他の事業をまとめて、お互い協力しあって欲しい。詳しいことはまた社で改めて話そう。いやー、楽しみだなー」
そう言って瑛の父は美味しそうにお酒を飲んでいた。