【SR】だるまさんが転んだ
「こういう事は、良くあるの?」


二度目は上擦りもせず、ゆっくりはっきりと言えたが、少女の表情に変わりはない。


大人に足を向けなかったのは、外国人という以上に疑われる事を避けたかったからだ。


子供なら、大人特有の疑念を持たずに話してくれるかと思ったのだが、それも無駄だったらしい。


諦めの表情は見せずに、俊介はポケットに残っていた小銭を少女の手に握らせた。


その途端、少女は潤んだ瞳に笑みを足してくれたのだった。


立ち上がろうとした俊介は、背後で聞こえた金属音に身体を固まらせた。


今さっき、自動小銃をぶら下げた少年達を見たばかりである。


背中に突きつけられたソレが、何であるかは振り返らずとも分かった。


俊介の背中を、冷たく不快な汗が撫でた。
< 19 / 57 >

この作品をシェア

pagetop