隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「ねえ桃さん、何があったの?」

その後、根負けした私が「もういいわ、今まで通り名前呼びにしましょう」と言っても優也さんはあきらめてくれなくて、しつこく私の後ろをついて来る。

「もういい加減に仕事をしましょうよ」
私も疲れてしまった。

「だったら、何があったのか教えて」
「だから・・・」

「朝から元気だな」

ちょうど私の声が大きくなりかけたタイミングで、お兄ちゃんと隼人が社長室に入って来た。
マズイな、優也さんとふざけていたように見えたかもしれない。

「「おはようございます」」

優也さんと共にお兄ちゃんの前に立ち挨拶をすると、隣りに立つ隼人はなぜか渋い顔をしている。
どうしたんだろう、今日も不機嫌そう。

「今日は早めに帰宅の予定だから、スケジュールの調整を頼むよ」
「はい。基本的に今日の夕方からはオフにしてあります」
「そうか、助かる」

「あの、桃さん」
私とお兄ちゃんの会話を聞いた優也さんが首を傾げながら、私に小さく声をかける。
私は「後でね」と目配せした。
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