転生したはずだった

白黒の夢

誰かに呼ばれて目が覚めた・・・ような気がした

おかしい

誰かに呼ばれる?

錯覚か

死んだのだろうか?

目を開ける

女性がいる

見覚えがあるような・・・

アリス「誰?」

*「私?」

アリス「ほかにいないと思うけど」

*「・・・あなたにその体を渡した人の代理人」

人?・・・代理人?・・・代理人の代理人?・・・誰だこいつは?

アリス「・・・そう・・・あなたどこかで」

代理人の代理人「あったことある?ないとおもうけど」

アリス「・・・そう・・・だね」

代理人「あなたがわたしをなにに見ているのかはしらないけど」

言っている意味がわからない

アリス「女性にみえるけど」

代理人「・・・そう、あなたが勝手にそう思っているだけ・・・かな」

そうなのか?・・・それにしてもどこかで見た気がする

缶ビールを持ったままソファーで寝ていたらしい

缶に「キリン」の絵が描いてある・・・「キリン」?

違和感がある

アリス「で?代理人の代理人が何の用で?」

代理人「その顔と体になって2週間くらいたった?」

アリス「・・・たぶんそのくらい」

代理人「そのくらいで錯乱する人がたまにいてね・・・自殺しちゃう人とか」

アリス「なるほど・・・お察しの通りで・・・え?私・・・また死んだの?」

やっぱり他にもいるのか?

代理人「あら・・・そうなの?また?・・・気が付いた?」

アリス「・・・理解できないだけで、気が付いては・・・」

代理人「上出来だとおもうけど」

アリス「意味がわからないんですよね・・・この状況の」

代理人「そっか・・・死んでないから安心して」

アリス「は?」

代理人「まぁ、手違いというか予定外のことが起きたとしか言えないの」

アリス「・・・それは前回」

代理人「気に入った?その体、好きに使っていいから」

アリス「・・・はぁ」

代理人「何も気にしないで今まで通りの生活をして・・・と」

アリス「と」

代理人「そう伝えるように言われた」

ムリだろう?

アリス「はぁ」

代理人「ムリなら自殺するのもしょうがないかな・・・とかいってたけど」

アリス「この体は誰の・・・?」

代理人「ん?あなた用に作ったらしいから・・・誰かではないから安心して」

自分の精神が病んでいたり、誰かと入れ替わったということはないらしい

アリス「質問しても?」

代理人「え・・・答えないかもしれないけど、どうぞ」

なんかむかつく・・・イラつくといったほうがいいのか?

アリス「私は何かしなければいけないの?」

代理人「・・・さぁ、それは私の知らないことかな・・・」

知っていたとしても言わない・・・そんな感じだろうか?

アリス「そう」

代理人「異世界にでも転生して使命でも欲しかった?」

アリス「・・・」

代理人「それでもよかったけどね・・・転生した人ってほとんど死ぬから」

アリス「は?」

代理人「どんな世界に行くと思ってるの?異世界って・・・」

アリス「・・・」

代理人「現代社会みたいに便利なことってなくてね・・・

水道水は飲めないし、風呂も簡単には入れない、洗濯も週に何回するか

食事は1日1回とかかな・・・電気や電灯もない

自分の体のまま異世界に飛んだら、ほとんどの人が生活できなくて嫌になるか病気になる

ちなみに化粧もできないし髪もきれいにはけれないかな・・・

女性がその状況なら男性もそれなりだと思うでしょう?

服の繊維とかも荒かったりするから敏感肌とか言っていると服もない

何か使命を与えたとしても旅に立つ前に挫折するか旅の途中であきらめる

あなたはそんな世界で生きていけそう?」

アリス「・・・ムリかな・・・」

代理人「そう、よかった。それでも行きたいって言われたどうしようかと思って」

アリス「行けるの?異世界」

代理人「さぁ?あるといいねそんなファンタジーな世界が」

やっぱりむかつく・・・けれどそんな世界では生きていける気はしない

代理人「さてと、じゃ私の仕事は終わったから・・・」

彼女の顔を眺める

目の前が暗くなった気がした

意識が飛んだ

夢を見ていたらしい

ソファーで缶を持ったまま目が覚めた

あの顔は・・・「私の顔」だった・・・そんな気がした

記憶があいまいではっきり思い出せない

さっきまで見ていたはずなのにすでに記憶が薄らいでいる

夢で見た映像はいつもそんな感じかもしれない

缶をテーブルの上に置く

冷蔵庫にサンドイッチと発泡酒を取りに行く

時計を見ると9:00を過ぎていた

3時間くらい寝ていただろうか?

すでに夢でみた古い自分の顔が思い出せなくなっている

・・・夢は白黒だったか・・・

あの代理人は私を安心させるためにわざわざ来たのだろうか?

死なれると困るから?・・・だろうか?

何もしなくていいよなことを言われた気がするが・・・本当にそれだけだろうか?

空想の動物の絵が描かれた缶を開けて口に運ぶ

・・・あきたか・・・違うの買ってくればよかった
< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop