幼なじみ社長は私を姫と呼んで溺愛しています
海外からの観光客は絶えることはない。

有名観光地を巡る以外はここ一箇所でいろんな日本文化の体験が楽しめる上に土産物も揃うため、訪れる観光客は増加する一方なのだという。

そして、千紘がこの前中国へ行っていたのは、大手旅行会社のツアーの中に『ハピネス』を組み込んでもらうことが目的だったらしい。

それはうまく話がまとまり、さらなる集客率が見込めるようになった。

そんなわけで、パーティーの時にあれだけ自分の会社を売り込もうとしてくる人たちがいたのは、『ハピネス』に店舗が入れば海外に自社の名前を売ることにもつながるからだ。

「すごいですよね。大学4年生がビジネスコンテストで最優秀賞。
コンテスト主催者の後押しと賞金を元手にあっという間に会社をおこし、さらに企画書を持って自分の足で数百という会社を回って協賛してくれる企業をどんどん開拓していく行動力とプレゼン力。僕には真似できないです」

政井さんはほうっとため息をつき、遠くを見つめる。それは完全に尊敬の眼差しだ。

お義父さん…いやダディからお金を借りたのかと思っていたけど、その資本金だけで会社が成り立つわけがない。

協力してくれる企業がないことにはどうしようもないのだ。

中小企業のぬるま湯の中で生きてきた私の想像を超えるような努力してここまで会社を大きくしたんだろう。

そう考えるとなんだか妻として誇らしくなる。


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