幼なじみ社長は私を姫と呼んで溺愛しています
そのまま私は実家へと向かった。

「遥、急にどうしたの?
千紘くんとケンカでもしたの?」

「…お父さんに話があって来たの」

心配そうに眉を寄せる母を尻目に、リビングへと入る。

「おっ遥。どうしたんだ。
もしかして千紘くんとケンカでも――」

「お父さん、聞きたいことがある」

口調を強めると、父はただ事じゃないと察したのか半口を開けて黙り込んだ。

「正直に全部教えて。
あの日…火傷の日、何が起きたの?」

「…ああ、ハハッそんなの遥が一番知ってるじゃないか」

父の笑いが引き攣っているのはすぐに気づいた。

やっぱり何かあるんだ。


< 96 / 111 >

この作品をシェア

pagetop