世界くんのタカラモノ
「森川さん、いつから産休でしたっけ?」

梅子から明菜はいま二人目妊娠中で、もうすぐ産休に入ると聞いていた。

「あと二週間後かな、梅子、あ、梅子さんには明菜の分の仕事を増やしてしまって申し訳ないけどね」

「いつもは梅子って呼んでるんでしょ、別にいいっすよ。俺の女なんで」

「あはは。じゃあ遠慮なく。ここだけの話、梅子が上司で僕も明菜も本当に助かってるんだ。明菜が健診のたびに仕事がどんなに忙しくても有給取らせてもらってるし、つわりの時なんて二ヶ月休職させてもらってたし。その穴埋めのほとんどを梅子がフォローしてくれて……子供も二人いるのに、仕事はいつだって完璧で本当改めて凄い同期だよ」

想像のついた話なのに殿村の口から改めてきくと無性に梅子に会いたくなってくる。そして、それと同時に小さな不安が膨れ上がる。

「やっぱ梅子さんって呼んでくれます?なんなら御堂さん呼びでもいいすけど?」

「なんだよ、僕から梅子の話聞いて妬いたのか?」

「いや……まぁそのなんてゆうか。俺の女ではあるんですけど、その未だに心配になるっていうか。俺は梅子さんを支えられてんのかなって。今の話もそうですけど……梅子さんに日頃家事も育児も任せきりで、それなのに梅子さん、俺に愚痴ひとつ言わないんです。やっぱ俺年下なんで甘えにくいのかなとか……」

殿村が口元を押さえながら声を殺して笑っている。

「なんすか?相変わらず余裕たっぷりの笑い方すね」
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